“INIT BRIT”という機能拡張が組み込まれた人間には、英国こそ自分の本当の故郷ではないかと大いなる勘違いをするという最大の特徴があります。

　日本の地にれっきとした日本人として生を受けた自分を「生まれてきた国を間違ってしまった」と嘆き、紅茶には必ず冷たいミルクを入れ、天ぷらはまだいいとしマクドナルドのポテトにまでモルトビネガーをかけ、モルトが手元にない時はまるで意地のように米酢を使います。
　ちなみに“お持ち帰り”は頑固として「Take Away」です。間違っても「Take Out」とは言いません。ハイドパークのつもりで代々木公園や新宿御苑で昼寝をし、ラガービールを意味もなく毛嫌って近所でエールやビターの飲めるバーを探し出し、マーマイトを「おいしい」と思ってしまえるのも仕様です。
　営団地下鉄の路線図よりも、TUBE（ロンドン地下鉄）の路線図に詳しく、はたまた丸の内線をセントラル線、千代田線をディストリクト線などと思わず呼んでしまいます。
　カフェで注文したスコーンにクロテッドクリーム（またはデヴォンシャークリーム）ではなく生クリームがついてくるといきなり怒り出した末に大きな溜息をつくのです。また、オバケ好きなのも特徴です。
　彼をもう、誰も止めることはできません。

　そんな彼がそこまで愛す英国とは、どんな所でしょうか。
　成田空港から直行便で12時間。ヨーロッパの端の（大陸から比べりゃ）小さい“島”が、僕らが日常的に“イギリス”と呼ぶ所です。が、も少しちゃんと説明しようと思うと、ここはちょいと複雑な国でもあります。

　僕らが単に「イギリス」と呼ぶあの麗しい国は、正式名称を「United Kingdom of Great Britian and Northern Ireland（大ブリテン及び北アイルランド連合王国）」といいます。
　つまり略してUKとは「イングランド」「スコットランド」「ウェールズ」「北アイルランド」の4つの国の連合体。だからGB（Great Britain）と言う場合、北アイルランドは除いた3つの国を差します。この3つの国は大ブリテン島にあることからきてます。
　なので僕はアイルランドだって好きだというのに、このコンテンツのタイトルに含んでいる「BRIT（British-英国人）」にはアイルランド人のことは入らないという、まさに面 倒っちぃことになってしまうのよ。アイルランド人は「アイリッシュ」なのよ。
　この他に、ほとんどに立法府と行政機関がある海外領土が14あります。バミューダ、フォークランド諸島、ジブラルタル、南サンドイッチ諸島などなどなど。また、女王が国家元首になっている国は、オーストラリア、カナダ、ジャマイカなど英国を入れて16。んまぁ、その他色々とあるわけだな。

　以上のことから当「INIT BRIT」では難しいこたぁ置いておいて“例のあの国”のことを単純に“UK”もしくは“英国”と呼ぶことにします。 よろしくねん。