今回はさすが更にあの街の空気に馴染めたという感覚があった(勘違いでもイイよねえ?)。
だいたいの地理もTUBE MAPも頭に入ってる。日本とさして変わらない感じだけど、それでもやっぱり存在するロンドン(英国)ならでわのこと(すごく些細な事だけどね)も、なんだかいろいろ分かってきてる。リフトから何から絶対完璧に動作しないキカイも、あってないような信号も「英国らしいなあ」って笑って済ませる。イギリスゴハンだって、とてもおいしい。
実際は色々な準備を頑張って、やっと12時間飛行機に乗らないと行けない事に変わりはないけれど、それでも遠い国という感じが更に更になくなってきている気がした。そしてもちろん、更に更に愛しくなってくることにも変わりなく。
実は色々抱えている問題をクリアにするための“自分の時間”を持つため、というのも今回のロンドン行きの目的の一つだったけど、そのへんも日本では絶対確保できない時間を持つことができたし、問題は色々あっても待ってはくれない仕事や作品製作に活かすつもりで頑張っていた画像素材収集も、手元に残ったメモリ一杯の1000枚近くのデータ、という結果になった。
このデータを手にした時、何かが自分の中に生まれてることにも気付いた。
僕は普段、イラストレータやフォトショップを手に様々なモノを作るデザイナーという仕事をしている。その一方で、主に写真を材料とするCG作品製作をライフワークにしている。
以前、僕が尊敬して勝手に“師匠”と心の中で呼んでいるアーティストの一人、フォトグラファーの小川義文さんに、既成のものではなく、写真から自分の作品を使ってCGを作ってみなさいってことを言われてから、確かにずっと気になってたこと。誰か他の人が撮った作品を加工して“自分の作品”にすることが、ちょっと引っかかってしょうがなくなってきていた。
このロンドンで集めた“自前素材集”が、なんだか僕に“やってやる!”っていう勢いを与えてくれてた。日々の仕事に埋もれて無くしてしまってた覇気のようなものが戻ったような、久しぶりの感覚だった。
そのデータ整理に追われている時初めて「帰りたくないな...」と実感が涌いてきた。もう帰ってきてしまってるというのに。さらに帰国後10日ぐらいしたある日、発作的に「ロンドンに帰りてえーっ!」と叫んでもいた(笑)。
あとはもう、ロンドンから貰ったこの山ほどのコトを自分にどうハネ返していくか。これだろうなあ......。
そして最後にエリコおばちゃんにも約束した通り、もっと勉強してまた色々なことを貰いに戻らなきゃ。
帰国して数日後、お土産を抱えていつもの店に飲みに行く途中、店の看板が夜の中で光っているのを目にした時、ホントにまた現実が始まったのを実感したと同時に、なぜだかスゴく“サミシイシアワセ”な気分になった。
Making London simple おわり
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